道路を使用したいけど、この場合は道路使用許可は必要なのか。判断に迷ったことはないですか?
道路は本来、歩行者、自転車通行者、自動車が通行する目的で作られたものであり、道路上でチラシを配布したり、工事や積み荷等の搬出入作業を行うことを目的としてはいません。
道路本来の目的に従って道路を使用することを「一般的使用行為」と言います。一般的使用行為の場合は道路使用許可は不要です。他方、一般的使用行為以外の方法で道路を使用する場合を「特別な使用行為」といい、この特別な使用行為をする場合に道路使用許可が必要となるのです。
そして、道路使用許可は道路本来の目的とは異なる目的で特別に使用を許可するものなので、公益上又は社会慣習上道路を使用することがやむを得ない場合であって、かつ、交通に支障がないと認められる使用形態でなければなりません。
では、具体的にはどのような行為が道路使用許可の対象行為となるのか。道路使用許可対象行為の許可要件はどのような要件か。以下見ていきましょう。
道路使用許可の対象行為
道路使用許可の対象となる行為は以下の行為です。
- 道路において工事もしくは作業をしようとする行為(1号許可)
- 道路に石碑、広告板、アーチ等の工作物を設けようとする行為(2号許可)
- 場所を移動しないで、道路に露天、屋台等を出そうとする行為(3号許可)
- 道路において祭礼行事、ロケーション等をしようとする行為(4号許可)※
※4号許可については、東京都道路交通規則においてさらに具体的に以下の行為が定められています。
- 道路において、祭礼行事、記念行事、式典、競技会、仮装行列、パレード、街頭行進その他これらに類する催し物をすること
- 道路において、旗、のぼり、看板、あんどんその他これらに類するものを持ち、若しくは楽器を鳴らし、又は特異な装いをして、広告又は宣伝をすること
- 車両等に広告又は宣伝のため著しく人目をひくように、装飾その他の装い(車両等を動物、商品その他のものにかたちどることを含む。)をし、又は文字、絵等を書いて通行すること
- 道路において、ロケーション、撮影会その他これらに類する行為をすること
- 道路において、拡声器、ラジオ、テレビ、映写機等を備え付けた車両等により、放送又は映写をすること
- 演説、演芸、奏楽、放送、映写その他の方法により、道路に人寄せをすること
- 道路において、消防、水防、避難、救護その他の訓練を行なうこと
- 交通の頻繁な道路において、寄附を募集し、若しくは署名を求め、又は物を販売若しくは交付すること
- 道路において、ロボットの移動を伴う実証実験又は人の移動の用に供するロボットの実証実験をすること
道路使用許可対象行為の許可要件
道路使用許可対象行為の許可要件は、当該道路使用許可対象行為が以下の3つの条件のいずれかに該当することと規定されています(道路交通法第77条第2項)。
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- 現に交通の妨害となるおそれがないと認められるとき
- 許可に付された条件(※)に従って行われることにより交通の妨害となるおそれがなくなると認められるとき
※所轄警察署長は必要があると認めたときは、現に交通の妨害となるおそれがないと認められる場合を除き、許可を出す際に道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要な条件を付けることができます。
- 現に交通の妨害となるおそれはあるが公益上又は社会の慣習上やむを得ないものであると認められるとき
例えば、ビルの外壁改修工事のため足場を設置しなければならない現場において、足場部材の搬出入作業を行う場合、この作業行為は通常「現に交通の妨害となるおそれ」がある行為ですが、「公益上又は社会の慣習上やむを得ない」行為として道路使用許可の要件を満たすことになります。
※作業内容によっては様々な条件が付けられたり、場合によっては許可できないとされる場合もあります。あくまでも必要最小限の作業内容とすることが必要です。
その他、よくお問い合せ頂く内容として「フラッシュモブによる宣伝行為」「仮装パレードによるチラシ配布行為」「路上アンケート」等がありますが、それらの行為についてはほぼ間違いなく許可は出ません。こうした行為は「交通の妨害となるおそれ」があり、また、「公益上又は社会の慣習上やむを得ない」行為とは認められないという理由によります。また、「必要な条件」を出してもその条件を守らない業者が多かったという過去の経緯も関係があると警察の担当者から直接聞いたこともあります。