工事用足場が敷地境界線から公道にはみ出てしまう場合は、管轄の役所に対して道路占用許可申請手続きを行わなければいけません。
では、申請手続きさえすれば必ず許可が出るのかといえば、そうではありません。道路占用許可を取得するためには、各役所が定める占用許可基準を守らなければなりません。
そもそも歩道や車道は、歩行者・自転車通行者・自動車等が通行するためのもので、特定の人が自由に使えるものではありません。
しかし、工事のためにどうしても一定期間、歩道や車道を占用しなければならないことがあります。そこで、各役所では占用してもよい一定の基準を設けて、道路本来の目的と工事の必要性との調整を図っているのです。
では、この占用許可基準とは具体的にどのような基準が定められているのでしょうか。具体的な占用許可基準を見る前に、まずはいくつか理解しなければならないことがありますので、ご説明させていただきます。下の図を御覧ください。
ここでは、占用許可基準で一番気を付けなければならない歩道についてご説明します。
まず、「歩道」とは車道等に併設され、歩行者の通行のために構造的に区画された道路の部分をいい、車道より一段高くなっていたり、ガードレール等で車道と区別されている道路のことをいいます。
車道に白線が引かれているだけの道路や緑色等で色分けされているだけの道路は、歩車道の区別のない道路ということで、歩道ではなく車道扱いされます。
次に、「有効幅員」と「歩道幅員」の違いです。
「歩道幅員」は、道路境界線から街きょ(道路の路面排水を円滑に処理するために歩道と車道の境に設置されたL型の側溝)又はガードレールまでの幅のことをいい、「有効幅員」は、歩道幅員から植栽や電柱等を除いた残りの幅のことをいいます。
そして、占用許可基準を満たすか否かを判断する際の歩道の幅員は、「有効幅員」で判断します。もっとも、図面作成の際は有効幅員のほか歩道幅員も図面上に落とし込んでいきますので、現地で測量を行う際は、歩道幅員及び有効幅員の両方を測量するようにしましょう。
さて、ここまでのことをご理解いただきましたら、東京都の各役所が定める具体的な占用許可基準を以下のとおりご紹介いたしますので、ご参照ください。
⇒足場占用許可基準(市区町村道)
⇒足場占用許可基準(都道)
⇒足場占用許可基準(国道)
- 歩道は車道より一段高くなっていたり、ガードレール等で車道とは構造的に区画された道路のことを指す。
- 「歩道幅員」とは、道路境界線から街きょ又はガードレールまでの幅のことを指す。
- 「有効幅員」とは歩道幅員から植栽や電柱等を除いた残りの幅のことを指す。
- 占用許可基準の判断は「有効幅員」で判断する。